Formulation

潤滑油の成分

潤滑油とは?

潤滑油は相互に接触している物質の表面間の摩擦を低減する為の油で、ほとんど全ての機械に使用されてます。
2018年の世界の潤滑油需要は3,640万MT/年となっており、種類別にみると、自動車用(57%)、工業用(26%)、金属加工油(6%)、プロセスオイル(8%)、グリース(3%)と半分以上が自動車用です。
エリア別でみるとアジア太平洋(43%)、北米(18%)、欧州(19%)、南米(9%)、中東(5%)、アフリカ(6%)となってます。

潤滑油の組成

潤滑油は、一般的には「べースオイル(基油)」80-90%と「添加剤」10-20%で構成されており、その使用目的に応じて、様々な組み合わせで調合されています。
添加剤の効果による性能差に着目されがちですが、べースオイルは潤滑油製品の基本的な性能を大きく左右します。

べースオイル (Base oil/Base stock)

グループでの分類

API(American Petroleum Institute 米国石油協会)ではべース油を下記のように分類しています。

API規格 特徴
グループ 硫黄分(%) 飽和分(%) 粘度指数 主な製法 分類
Group I 0.03超 または 90未満 80以上120未満 溶剤精製 鉱油系
Group II 0.03超 または 90未満 80以上120未満 水素化精製
Group III 120以上 水素化分解
Group Ⅳ ポリαオレフィン(PAOs) 合成系
Group V GroupⅠ~Ⅳに属さないもの

※粘度指数の高いものはグループ名の後ろに+(プラス)を付ける事がありますが、APIによって公式に認識されている用語ではありません。

下記で詳しく見ていきましょう。

GroupⅠ

製油所で得られる減圧軽油(VGO)や減圧残油(VR)を溶剤精製する最も伝統的な製法で得られる潤滑油基油です。
粘度指数や純度は劣りますが、アニリン点が低い事から添加剤の溶解力が高く添加剤を多量に処方する潤滑油では重宝されます。
また、溶剤抽出時にエキストラクト、溶剤脱ろう時にスラックワックスを得る事ができます。
日本や欧州に多く工場が存在しますが、老朽化や省燃費化の流れによる工場の閉鎖が後を絶ちません。
「150SN」のように、100℉ SUS粘度の前後にSN(ソルベントニュートラル)で表記される事が多く、VRを精製した高粘度品のみ一般的に150BS(ブライトストック)と呼ばれています。
ブライトストックはGroup1のプラントのみで製造されており、船舶用や工業用潤滑油等で高粘度基材として使用されています。

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Group Ⅱ

減圧軽油(VGO)を水素化精製(高温高圧下で触媒と接触させることで不純物を除去)する事で得られる基油です。
純度が高く基本的に無色です。
北米、アジア等世界各国に多く工場が存在し、世界的に最も一般的なべースオイルです。
「150N」のように100℉ SUS粘度の後にN(ニュートラル)と表記される事が多いです。

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Group Ⅲ

減圧軽油(VGO)を高度水素化分解する事で得られる極めて純度が高く無色透明なべースオイルです。
アジア及び中東での生産が多く、鉱油系の中では最高品質のべースオイルです。
一般的に「4cSt」のように100℃粘度で表記される事が多く、エンジンオイルの文脈では、VHVI(Very High Viscosity Index)と呼ばれる事もあります。
エンジンオイルのマーケティング観点から化学合成油(シンセティックオイル)と呼ばれる事もありますが、原油由来である為事実としては鉱油です。
しかし、化学合成油に匹敵する品質である事や、過去の米国での係争の結果もあり、現在では多くのメーカーが化学合成油やフルシンセティックとしてGroup3ベースのエンジンオイルを販売しています。
また、後述するGTL基油もGroup3基油に位置付けられる事があります。

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Group Ⅳ (Polyalphaolefin/Poly-α-olefin/PAOs)

ポリαオレフィンという単一物質につけられたグループ名である事からもわかるように、Group1-3とは別物として扱われています。
PAO(ポリアルファオレフィン)は、LAO(リニアアルファオレフィン)を酸性触媒化で重合し、オリゴマー化した混合物を水素化精製した、無色透明、無臭の合成油です。原油の精製により製造されるのではなく、化学プラントで製造される純粋な化学合成基油であり、硫黄、窒素、芳香族等の不純物を一切含みません。
米国及び欧州で製造されており製造量が限られていますが、近年伸びる需要に対応する為各地での増産が計画されています。
鉱油と比較して高品質であり卓越した性能差がありますが、その分高価です。
「4cSt」のように100℃粘度で表記される事が多いです。
高品質、長寿命、省エネのニーズに対して配合される他、鉱油系べースオイルの品質向上目的で添加される事もあります。

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Group Ⅴ

グループI、II、III、またはIVに含まれないすべての基油を含みます。
脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコール(PAG)、アルキルベンゼン、リン酸エステル、シリコーン油、PIB(ポリブテン)、ナフテン油、植物油等がそれに当たります。
また、製法の観点で言えば、再生ベースオイル、GTL、CTL等も正式にはGroup5に属する基油ですが、性能面からGroup3にグルーピングする事もあります。

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組成による分類
鉱油系(ミネラル)

原油から精製して製造された基油。 ベースオイル組成分析に多用される環分析(n-d-M法)でパラフィン炭素数,ナフテン炭素数,芳香族炭素数をそれぞれ%CP,%CN,%CAとして全炭素に対する割合により下記に分類されます。

パラフィン系
一般的に%CP(パラフィン炭素数)が50%以上のべースオイル。API分類で言うとGroupⅠ~GroupⅢ。
大部分の潤滑油がパラフィン系です。中東産原油等から生産され、汎用的な潤滑油基油として広く使用されています。

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ナフテン系
一般的に%NP(ナフテン炭素数)30%以上のべースオイル。
主にオーストラリアやベネズエラ、米国にて産出されるナフテン系原油を常圧蒸留、減圧蒸留した後、水素化精製、溶剤精製や、硫酸洗浄、白土処理等で精製します。
粘度指数は低いが、ワックス分を含まない為流動点が非常に低く溶解性が高いという特徴があります。

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化学合成油(シンセティック)

一口に化学合成油といっても目的に応じて様々な製法、種類があります。
一般的に鉱油系と比較して高価ですが、不純物がなく、石油精製では達成できない品質を実現します。

PAO (ポリ-α-オレフィン)
上述の通り

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ポリブテン
イソブテンやノルマルブテン等の重合による極めて安定的な透明で不純物を含まない無毒な合成炭化水素ポリマーです。

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エチレンプロピレン共重合体(EPO)/
ルーカント®/DaelimSynol®
メタロセンベースのエチレンと プロピレン(またはα-オレフィン)とのコオリゴマーです。高粘度且つせん断安定性が高い極性基を含まない炭化水素系合成油です。

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脂肪酸エステル
脂肪酸とアルコールの化合物、高い潤滑性、生分解性、難燃性、低温性等の特徴を有します。また、低炭素基油としても注目されてます。

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GTL(Gas To Liquid)
天然ガスをFT合成で液化したべースオイルです。高品質ですが供給量が限られています。
アルキルベンゼン
ベンゼン核にアルキル基のついたものの総称であり,無色,無臭の透明な粘性のある液体です。絶縁油、冷凍基油等に利用されます。
シリコーンオイル
耐熱性・耐寒性・電気特性・耐水性等に優れた無色透明な液体です。
ポリアルキレングリコール(PAG)
EO,PO等の重合反応で得られる高粘度指数のオリゴマーです。

添加剤

潤滑油の性能向上のため基油に少量加えられる物質です。
要求品質に合わせて、様々な種類が存在します。
エンジンオイルは基油+DIパッケージ+ポリマー+流動点降下剤で処方される事が多いです。

摩擦調整剤
潤滑剤の摩擦特性を望ましいように調整する添加剤の総称
→ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)等
粘度指数向上剤
油溶性高分子ポリマー。低温では小さく糸まり状に凝集し、高温では溶解性が増し伸び広がった状態になります。
→オレフィン共重合体(OCP)、ポリメタクリレート(PMA)、エチレンプロピレン共重合体(EPO)等
清浄分散剤
金属清浄剤と無灰型分散剤があり、高温運転における劣化物の沈積を予防、抑制するもので、金属系が多いです。分散、可溶化および酸中和の3作用を有します。
→スルホネート、フェネート、サリシレート等
流動点降下剤
パラフィン系基油よりもさらに低い流動点を要求される潤滑油に添加される物質で、析出するワックスの結晶形態を変え、流動点を下げます。
→PMA等
酸化防止剤
遊離基,過酸化物と反応して安定な物質に変えることにより,油の酸化を防止し,油の酸化に起因するワニス,スラッジの生成を抑制します。
→ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)、アミン系、フェノール系等
防錆剤
鉄および銅の表面に最ちょう密の状態で吸着し、さびの発生を防ぎます。金属表面に極性基が吸着し、強固な吸着膜を形成し酸素および水と金属表面との接触を防ぎます。
→カルボン酸、スルホネート、リン酸塩等
消泡剤
泡消し剤とも称し、泡立ちを押さえるため使用される添加剤です。潤滑油に不溶で、かつ表面張力が小さく泡沫に対し拡張性のある性質が要求されます。
→シリコーン油、金属石けん、脂肪酸エステル等

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