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2021.11.25

尿素、今何が起きているのか?

世界中で様々な用途に使用される尿素。国際的な尿素の逼迫が叫ばれているが、今一体何が起きているのか?

世界全体の尿素生産量の約3分の一に相当する約7千万MTが中国国内で生産されている。各国への輸出量も世界の尿素貿易数量の1割強を占め、世界的に中国に頼る体制となっていた(2020年末時点)。その中、中国政府は2021年10月15日より尿素を含む肥料原料に対して法定検査(CIQ=China Inspection Quarantine)を開始することを決め、実質輸出規制がされることとなった。

 

中国輸出規制の背景

2020年、新型コロナの影響により世界的に尿素及び肥料需要が縮小し価格も下落傾向にあった。2021年に入ると各国の尿素需要が回復(主に肥料需要)し、加えて、尿素原料となる天然ガス・石炭価格が上昇。製造コスト上昇と需要の急増により国際的に尿素価格が過去最高水準に達した。中国からの各国への輸出量は8月時点で前年比の4割強増え、輸出価格が国内価格を大きく上回った。このことから中国政府が国内需要への供給確保を不安視し、更に急騰する価格を是正国内供給の安定化を図る為、輸出規制に踏み切った。

CIQが出される迄の経過として、中国国家開発改革委員会と中国主要肥料メーカー間で5月頃より9月にかけ幾度も会談が行われた。委員会としては①国内価格の安定化 ②国内供給の確保 ③農家へのサポート をメーカー側に求めたという。

 

10月15日以降は一切の輸出が許されず、各国にて混乱が発生。その中でも取り分け100%を輸入に頼る韓国では肥料向けだけでなく、車用脱硝用尿素水(AdBlue)用の尿素も不足し、車関連の物流問題にも至っている。各メディア報道の通り、韓国では政府主導で中国政府や各国からの尿素調達を動き始めている。11月初旬には韓国政府から外務省を通じ、中国に尿素支援を求めたことにより、CIQ検査の審査合格を早めることができ、11月23日、規制後初めて韓国の港に中国品尿素が到着した。

 

韓国に限らず世界各国での尿素不足は深刻化している。多様な用途で使用される化学品であるからこそ、多方面の産業に思わぬ影響をもたらす可能性がある。

当社では中国以外の様々な国からの尿素関しても多数取扱いを行っており、更にこれを機にソースを増やしている。

お問い合わせは阪和興業・化学品チームまで (chemical_team@hanwa.co.jp)。

 

 

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