コラム
コラム
2023.02.07
再生ベースオイル(Re-refined base oils) に関する取り組みについて
潤滑油は主にベースオイルと添加剤で構成されますが、
弊社潤滑油部門では、再生ベースオイル/再生基油(Re-refined base oils)の三国間貿易を行っており、同時に日本での普及も推進しております。
日本では、エンジンオイル等の使用済潤滑油が毎年60万KL発生しその大部分が再生重油としてサーマルリサイクルされております。
弊社では古くから国内外で再生重油製造事業者様と共にそういった再生燃料の普及促進を行ってきました。
一方、欧米では使用済み潤滑油は化学的に再精製(溶剤/水素化/薄膜蒸留等)し再生基油として再度潤滑油に戻すマテリアルリサイクルが一般的です。(欧州55%、米国50%)
品質上バージン基油と同等と見なされ、EU全体で販売されている潤滑油の内13%は再生基油が使用されており、イタリアでは30%に達しております。
日本でも2050年カーボンニュートラル宣言以降、CO2排出を伴わない使用済み潤滑油のマテリアルリサイクルについて議論が深まってきました。
再生基油は、GEIR(欧州廃油再精製産業協会)によると製造過程で排出されるCO2の50%以上が削減されることがいくつかのLCAで確認されてます。
BCPの観点からも輸入原料である原油や製油所稼働に依存する事なく安定供給が確保できる再生基油はベースオイルの安定供給につながります。
日本で再生基油が一滴も製造されていない現状において、需要創出、OEMの承認と保証、社会システムの構築は容易ではなく段階的に推進していく必要があります。
まずは、グローバルOEM向けの実績を積み重ねてきた再生基油の輸入品の国内普及を促し、最終的に国内精製品を有効活用していく形での社会実装が最も現実的と言え、阪和興業ではその輸入、国内再精製の両面において、様々な働きかけを行っております。
弊社は従来から海外で製造されている再生基油の取り扱いを行っており、唯一の再生べースオイル輸入商社として、潤滑油品質委員会にオブザーバーとして参加し各国の製造業者へのヒアリング、交渉及び、サンプル評価も行っております。
経済産業省の委託調査事業、「潤滑油の安定供給に向けた原料確保の多様化に関する調査・分析事業」に関して、弊社のヒアリング内容が掲載されておりますので、ご参照ください。
2022年 潤滑油の安定供給に向けた原料確保の多様化に関する調査・分析事業調査報告書
(P31~)
2021年 潤滑油の安定供給に向けた原料確保の多様化に関する調査・分析事業調査報告書
(P28~)
担当課室名:資源エネルギー庁 資源・燃料部石油精製備蓄課
委託事業者名:一般社団法人潤滑油協会
再精製基油に加えて、カーボンニュートラル基油、バイオマス基油、その他植物由来化学品等、様々なサスティナビリティに関する化学品について、以下、フォームからお気軽にお問い合わせ頂けましたら幸いです。
※参考
-阪和興業は、戦後、不要船舶を解体してスクラップや重油の販売を行っておりました。歴史的にリサイクルに関するビジネスに古くから関わっており、金属スクラップ(子会社:昭和メタル等)、古紙のトレーディング、タイヤチップの輸入販売、廃プラと紙を固めたRPF燃料製造(子会社:西部サービス)、バイオマス燃料の輸入販売(PKS、ウッドペレット)等、リサイクル事業を通じたカーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みを推進しております。